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慰安婦決議採択をめぐって

 昨日、米下院外交委員会において、「従軍慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案」を、39対2(欠席9)の賛成多数で可決されました。かくて、日本国内の各紙は揃って本日朝刊社説でこのことに言及していますが、それぞれの個性が出ていてわかりやすいです。

 朝日新聞 「慰安婦決議―首相は深刻さを認識せよ」 

 毎日新聞 「『従軍慰安婦』決議 安倍外交にも問題がある」

 読売新聞 「慰安婦決議 米議会の「誤解」の根元を絶て」

 産経新聞 「慰安婦決議案 事実を示し誤解を解こう」

 朝日は、「日本が過去の過ちを反省していないと、米議会が国際社会の面前で糾弾している。その意味は重い。」と、いわゆる慰安婦問題が事実か否かには触れず、米国でのこの問題を巡る周辺事情も一切触れていません。いつもの「日本=悪」の論調で、こちらこそ、朝日新聞から「日本がそんな国と見られているのかと思うと残念であり、恥ずかし」くなります。

 毎日も朝日と同様、事実の真偽には触れられず、ダニエル・イノウエ上院議員の日本擁護の声を紹介してはいますが、「今回の事態を招いた要因としては、」安倍首相が「狭義の強制性」を否定したこと、「従軍慰安婦の強制性を否定する内容の全面広告」が「呼び水」になったという主張です。

 一方、読売新聞、産経新聞は、日本政府が2年がかりで調査した結果、「『軍や官憲による強制連行』を直接示す資料は、これまでの調査で何も見つかっていない。政府は、今年3月の答弁書でも、この点を明確にしている。」、「全くの事実誤認に基づく決議である」のだから、「誤解」を解くべき、という主張です。

 読売は、更に「安倍首相は、『河野談話』を継承すると言う。外交的配慮からだろうが、その立場をとる限り、『強制連行』という誤解は消えない。談話に誤りがあるなら、見直しを躊躇(ちゅうちょ)するべきではない。」と、より積極的です。産経は、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」の影響、米国世論調査での日本に対する信頼度が高いことを紹介するなど、米国社会の背景も紹介し、朝日、毎日の感情論的記事に比べ客観的です。

 朝日・毎日はいつものことですね。NHKの昨日の報道も、これらにそっくりな内容でした。

 産経は更に、今朝ワシントンの古森記者の以下のような記事を掲載しています。

 慰安婦決議案 米下院委が可決 中国系反日団体が圧力

 【ワシントン=古森義久】米下院外交委員会(トム・ラントス委員長)が26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を可決したが、この動きの背後では中国系反日団体がラントス委員長に激しい圧力をかけ、敏速に採決の動きをとらなければ次回の選挙で別の候補を支援するという政治的脅しがあったことが報じられている。

 この情報はカリフォルニア州中部のニュースを報じる地方通信社「ベイ・シティ・ニューズ」(本社・サンフランシスコ)の6月14日発報道として流され、地元の新聞数紙に掲載された。

委員長に「対抗馬」示唆

 同報道によると、歴史問題で日本を一貫して非難している在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の幹部たちは、他の在米中国系組織幹部とともに同州クパナティノの中国料理店で集会を開き、マイク・ホンダ議員らが下院に提出した慰安婦決議案の可決促進を協議した。抗日連合会のイグナシアス・ディン副会長(中国系米人)が語ったところでは、同幹部連は下院のナンシー・ペロシ議長とラントス委員長が(慰安婦決議案の採決推進に関して)言い逃げをしているとの見解を明示した。とくにラントス委員長は人権擁護派の評判にもかかわらず「同決議案支持へのわれわれの訴えに応じず、有権者とアジア系米人社会への軽侮を示している」と主張したという。

 このディン氏の発言はちょうどラントス委員長らが日系長老のダニエル・イノウエ上院議員から同決議案を審議しないよう要請され、さらに訪米した安倍晋三首相と会談して、同首相から慰安婦問題について「申し訳ない」という言明を得て、同決議案への取り組みをソフトにしたようにみえた時期と一致する。

 しかし「ベイ・シティ・ニューズ」の報道によると、抗日連合会の幹部らは民主、共和両党議員への政治献金者であり、このままではラントス委員長らに献金目的にのみ利用され、実際の行動では放置されるという懸念を表明した。そしてディン氏らは「選挙区の33%がアジア系住民であるラントス委員長が同氏らと意思疎通できないならば、もう新しい議員の選出の時期となるだろう」と告げた。ディン氏らはこの「脅し」をラントス委員長のカリフォルニア第12区の人口動態の数字と過去の投票結果で裏づけ、2008年の下院選挙では自分たち自身の候補をラントス委員長への対抗馬として立てることを示唆した。

 ディン氏は「ラントス事務所の私たちに対する最近の扱いにはまったく当惑している。すでに対抗候補として十分に資格のあるアジア系米人女性を含む数人を考慮している」と語ったという。

 在外中国系住民により1994年に設立された抗日連合会はホンダ議員の選挙区に本部をおき、中国政府とも密接なきずなを持ち、戦争や歴史に関して日本を一貫して非難してきたほか、2005年には日本の国連安保理常任理事国入りへの反対署名を4200万人分集めたと発表している。ディン氏ら幹部は1990年代からホンダ氏と連携して日本非難の決議案の作成や提出にかかわり、政治資金も集中的に提供してきた。

 ラントス委員長の事務所ではこのディン氏らの動きについての報道に対し26日、「もう実際の事態展開で事情は変わった」と述べた。

 【慰安婦決議案要旨】

 一、慰安婦制度は日本政府による軍用の強制的な売春で、20世紀最大の人身売買の一つ。

 一、現在の日本にはこの問題を軽視しようとする教科書もある。慰安婦問題で謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話を否定する世論もある。

 一、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の要。政治的、経済的自由の促進、人権、民主主義の尊重という価値観の共有に基づいた同盟であり続ける。

 一、第二次大戦中に日本軍がアジア太平洋地域を支配した時代に行った従軍慰安婦問題について、公式声明で首相が謝罪すれば今後、この問題が再燃するのを防げるだろう。

 一、日本政府は、日本軍が女性を性的奴隷にしたり人身売買に加担したことはないという主張の誤りをただすべきだ。

 一、日本政府は現在および将来の世代にこの恐ろしい犯罪を伝え、元慰安婦に対する国際社会の声に配慮すべきだ。(ワシントン 共同)(2007/06/28 09:54)

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 「やっぱりね」という感です。

 米国下院は、任期が2年と日本の議員よりも短く、選挙対策はそれだけ重要のようです。選挙民にとって実績となるものがなければ、日本よりもよりシビアに議員生命に関わり、ここにひとつの背景があるようです。更に最近豊かになった中国からの膨大なロビー活動に対する資金投与があります。(これも以前に産経が記事として取り上げていました)

 言いがかりをつけられ、それに抗議した、するとそれに対し反論や締め付けが出てくる・・・、こんなことは当たり前で、これに怯んで引き下がっては、ますます日本の信頼や名誉が下がるだけです。加藤紘一元自民党幹事長に代表される「安倍政権の外交政策の失敗」とか、「心配だ。意見広告を出したから、米国は激しい反応を示した」とか、「安倍政権の歴史認識だと反米になってしまう。日米関係に深刻な影響を及ぼすかもしれないことに気付いていない」といったコメントは、誰を利するものかは明らかです。

 早速、昨日平沼赳夫氏等超党派の議員達により記者会見が行われ、非難決議に対しての抗議声明が出されました。その中で、1.日米両国での慰安婦問題に関する共同歴史研究、2.河野談話の歴史的検証の2つの内容が提案されています。2については既に署名活動が行われています。

 米国や中国にとっては、事実だろうがそうでなかろうが関係のないことかも知れませんが、日本の名誉を守れるのは日本人しかいません。未来に記される歴史のために、「言われなき汚点」を子孫に残さないためにも、「FACT」を明らかにしなければと思います。

 余談ですが、以下のような高山正之氏の変見自在の記事を見つけましたので、参考までに付け加えておきます。

 クリントン=仕掛け人

1. 雇用機会均等委員会(EEOC)の副委員長にポールイガサキ(日系3世)を任命。三菱自動車のセクハラ訴訟の記者会見で「米国内で日本式に女を扱い、性の奴隷扱いした三菱に総額2億1千万ドルの集団賠償訴訟を起こした」とポールが発表した。日本人面した彼が日本をこき下ろすのだから、これは人種差別発言には当たらないというわけだ。かくてクリントンは、三菱が米国で稼いだ金すべてを巻き上げるのに成功した。

2.次にカリフォルニア州議会のマイクホンダ議員を登場させた。マイクはある日、唐突に「日本軍は南京やアジアで残虐行為を働き、連合軍捕虜を強制労働させた。謝罪と賠償を」という日本非難決議を州議会に出した。日系人が自分の祖国をそこまで賤しめたいならご勝手にと、決議は通った。

すると白人のヘイデン議員が立って「捕虜を強制労働させた日本企業に、半世紀遡って賠償させられる」という法案を出してきた。

何のことはない、マイクは日本人面を使い、この偽りに満ちた法案を通すために一芝居打ったのだ。

かくてヘイデン法が成立し、元捕虜の米兵に中国人や朝鮮人までが合い乗りして、新日鉄など日本企業十四社に総額百二十兆円の賠償訴訟を起こした。

マイクはこの手柄で連邦議会下院議員のポストを手に入れた。

ただ百二十兆円の方は土壇場で政権がまともな共和党に移り、最高裁がヘイデン法を却下してくれて日本企業は危ういところで助かった。

クリントンと似て白人優越主義に浸り、だから日本が嫌いなニューヨークタイムズは東京に送り込む記者にとにかく日本の悪口を書くよう指導する。 (週刊新潮2月1日号p152)(マイアミの青い空、3/29より。Tai-chan 先生、ありがとうございます。)

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とても曖昧な点がおおいとおもいます。 この問題にはもっと積極的になるべきだと思います [Read More]

Tracked on June 28, 2007 03:37 PM

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