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◇李登輝氏の訪日を望む

okunohosomichi

 かつて、田中真紀子が外相だった時代に、「李登輝は絶対に日本に入れません!」と豪語し、台湾人や心ある日本人の怒りを買ったことがある。
 李登輝氏は、今月初め、日本の新聞社のインタビューに答え、「来年四月に『奥の細道』を必ず歩きたい」と話した。今はその田中真紀子もおらず、新しく外務大臣になった麻生氏と、官房長官となった安倍氏がいる。
 今度こそ、李氏にとって「屈辱的条件」なしでの訪日を実現したい。

 産経新聞(2005.11.14)より転載
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論説委員室から 一筆多論 矢島誠司 

李登輝氏と「奥の細道」

 「月日は百代の過客にして、行(ゆき)かふ年も又(また)旅人也(なり)…」
 有名なこの書き出しで始まる松尾芭蕉の『奥の細道』は、「人生いかに生き、死ぬべきか」で悩んでいた若き日の李登輝氏(前台湾総統)の心を強くとらえた。
 「本がぼろぼろになるくらい、何べんも読んだ」と、氏から聞いたことがある。
 その李氏が先ごろ、台湾にいる日本人記者たちに「来年四月、桜の咲くころ、『奥の細道』を必ず歩きたい」と改めて語った。かねての念願である。
 李氏にとって「奥の細道」を歩くことは、単なる思い付きでも、日本へ行くための口実だけでもない。氏の「奥の細道」に寄せる思いはもっと深い。
 李氏は戦前、日本の教育制度のもとで、台湾の旧制中学、旧制台北高等学校、そして京都帝国大学に学んだ。教養を重視した戦前の日本教育のよい面を、いまも高く評価している一人である。
 李氏がいかに日本や中国、西洋の思想、哲学、文学を渉猟したかは、著書、『台湾の主張』(PHP研究所)、『「武士道」解題』(小学館)などに詳しい。
 日本関係では、禅の鈴木大拙、哲学の西田幾多郎、文学・評論の倉田百三、阿部次郎、そして『武士道』を書いた新渡戸稲造といった人々の著作との出会いが、熱い思いをこめて綴(つづ)られている。
 若き日の李氏が、『奧の細道』にひかれたのは、芭蕉の悟りの境地にも似た死生観、美意識などに触れたからと思われる。
 一昨年春刊行の『「武士道」解題』の中で、李氏は新渡戸稲造が伝えた「武士道」を、いまも世界に通用する指導的理念だと説いたが、「奥の細道」では、忘れられた「日本人の心」、深い精神性を喚起したいと考えていよう。
 自らを高めた思想や価値観を見直し、新しい光を与えて伝え、共有することにより、日本人だけでなく、同胞たる台湾人の思想や精神性をさらに高いものにしたいと願っているにちがいない。
 とはいえ、台湾の民主化を無血で実現した李氏ほどの政治家であれば、訪日に政治的思惑がないといえばうそになる。
 中国がいまだに強く反発する氏の訪日を実現することは、それだけで民主化された台湾の存在を世界に知らしめ、台湾の外交的勝利につながるからである。
 しかし、四年半前に台湾の総統を退任し、法的に私人となった李氏の訪日を拒む理由はどこにもない。いかに政治的影響力を持ち、日本でいかなる政治的発言をしようともである。
 私人の言論の自由は完全に保障するのが、自由民主主義国家のあるべき当然の姿だからだ。
 日本政府は過去二回の退任後の李氏の訪日を、病気治療、家族旅行の目的に限り、東京を訪れない、日本の政治家と会わない、記者会見、講演をしないなどの厳しい条件をつけて認めた。
 李氏は、「日本政府に迷惑をかけたくない」と、条件を受け入れたが、「最初はもっと屈辱的な制限もあり、怒りに身が震えた」と李氏に近い筋は語る。
 これに比べ、米政府は先月、李氏の約二週間にわたる私的訪米を受け入れ、首都ワシントン訪問、米政治家との集会、各地での講演などもすべて黙認した。
 米政府も裏では、「政治活動はしないでほしい」などと求めたにちがいないが、表面上は、どちらが民主国家としてのあるべき姿かはいうまでもない。
 芭蕉の『奥の細道』は、東京・深川が出発地だ。李氏の「奥の細道」行も、東京から始まらなければ無粋というものである。

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